グズグズしてたら梅雨が明けていました。
暑いっすね。どうもオダです。
先日は観劇講座なるものがありまして、「夜、ナク、鳥」が課題作品に選ばれましたので、それ終わりでこの記事を書いています。
色々なご意見やご感想を生で聞くことができて貴重な時間でした。
ありがたいです。
さて、遅ればせながら・・・
この度は沢山のお客様にご来場いただきまして誠にありがとうございました。
このご時世、満席の状態で作品を観ていただくことができて本当に幸せでした。
今公演に携わってくださった
客演の皆様
スタッフの皆様
お手伝いくださった皆様
陰ながら応援してくださった皆様
そして、今作「夜、ナク、鳥」を提供してくださった、くじら企画の後藤小寿枝さま
本当にありがとうございました。
誰一人欠けてもこの公演は成立しませんでした。
本当に感謝しています。
まずそもそも何故「夜、ナク、鳥」を上演することになったのか?
前々回、「海のホタル」をぼつじゅうという企画で上演させてもらった時に、大竹野さんの戯曲と肌が合うと勝手ながら思い、ぜひもう一回やりたい。やるなら対となる今作「夜、ナク、鳥」もいずれ是非やってみたいと思っていました。
いつか、と思ってたのですが、奇跡的にタイミングが合って2年後となる今年上演できる見通しが立ちました。
メインとなる女優達ですが、まず最初に見てみたいと思ったのが、”峯素子の悪役”です。
峯さんはいわゆる”良い人”なので、これまで芝居でも悪役やってるところを見たことがなかったのですが、この人絶対悪役ハマると前々から思ってたので、まずはこれを実現させたいと。ということでヨシダをやってもらったのですが、結果的に峯さんに任せて正解でした。僕の想像の斜め上をいく悪役というか怪物を演じてくれました。

次にストーリーの軸となるイシイですが、このポジションは本人は頑なに否定していましたが、いわゆるヒロインポジになる(女優四人が全員主役みたいな芝居ですがポジションとしての意味ガイド的役割と言い換えてもいい)のですが、可憐な人というイメージではなく、強さもあってなおかつ繊細な弱さも併せ持つ人、あくまで人間的な弱さによって騙されるのではなく、環境や外部的な要因で孤独であること、それプラスヨシダ達の直接的な圧力によって事件に加担するという構図を作りたかったので、それにピタっと合ったのが高橋映美子さんでした。

ツツミにはヨシダを愛すという特殊な関係性を求められるのですが、それが嫌味にならない人がいいなと思い、中村ユリさんにお願いしました。実際母性は凄く感じたのですが、それ以上の感情を出してもらわないといけないのが随分と苦労されたんじゃないかと思いました。なにせ戯曲には少ししか出てこないですしね。ですが書かれているなら表現しなければならないので、台詞にないところでいかに表現するか一緒に試行錯誤しました。

最後にイケガミですが、イケガミはヨシダを盲信しているところがあり、事件の最初の被害者にして加害者になるという難しい役どころで、繊細な役回りを演じてくれる人がいいなと思っていました。結構悩んだ末、有元はるかさんにお願いすることにしました。他の三人と比べると少し若いので、それが演技にも出てバランスを取るのに苦労されたと思いますが、四人の中でも異色な、ピーキーなイケガミ像を造形してくれて面白かったです。

続いて男優達ですが、女優達ほどの出番はありませんが、しっかりと存在感を残せる実力を求められます。
ゴウはイシイ(高橋さん)と並んで押し負けない強さとどこか情けなさも求められます。泥谷将くんにお願いすることにしました。カラ/フルとしては旗揚げ公演以来の出演となります。演出するのは、一人芝居以来となりましたが、久々に演出をして、率直な感想は”大人になったな”でした。昔はもっと我を通す俳優だったのですが、演出のオーダーに応える度量の広さを感じました。

エイジは生きている時の描写がほとんどなく幽霊として現れる存在です。イケガミの心の中の投影としてみることもできます。イケガミとのアンサンブルが大事になってきます。なんとなくイメージ的に白井宏幸くんなら有元さんとのバランスも良かろうと思ってたのですが、実際直接絡みはないものの共演経験もあったみたいで、稽古中に二人で前向きに相談し合いながら役作りしてくれたこともあり、ひと味違うエイジ像を見せてくれました。

ヒデキはヨシダの本性を分かった上で協力するという変わった役どころです。基となる事件には存在しないポジションです。僕は勝手に大竹野さんの男としてのささやかな抵抗として登場させているのかなと思いました。まあ結局はヨシダには敵わないのですが…笑。栖参蔵さんにお願いしました。彼とは前々回の「海のホタル」から3回目の出演です。掴みどころのない役どころですが、僕からのオーダーに応えてくれて、自分からの積極的なアイデアも出してくれて”戦うヒデキ”像を造形してくれました。

男優最後はミチロウです。このキャラクターもこの作品オリジナルの役で末期の癌患者という難しい役どころ(どれも難しい役どころですね)で、ぱっと見で病人に見える人で、ぱっと思いついたのが魔人ハンターミツルギさんでした。ミツルギさんは器用な方ではないですが、存在そのものを鑑賞するタイプの俳優なので、どうすれば魔人ハンターミツルギを生かせるか、ということに苦心しました。それと本番が近づくと本気になるタイプの俳優でしたね。笑

最後は、女優さんですが、”謎の女&隣人&執刀医”を演じてくれた鎌田恵弥さんです。本来ならこの役は誰かが代わりに演じるでも成立する(本家はそうしている)のですが、もっとストレートに見れるようにしたいという僕のわがままに応える形で出演してくれました。年齢的にも一番若いので、8人の芝居を間近で観る機会は彼女にとってもプラスになると思ったからです。おかげで物語に無駄な引っかかりを感じずに観ることができてとても助かりました。影の功労者だと思っています。

以上、9人による「夜、ナク、鳥」でした。
今回、作品を創るにあたってまず大切にしたのが、コロナ前の人と人との接触でした。
今書かれた戯曲ではないので、当時の空気感を出す事はとても大切だと思いました。実際はこんなにも接触はしないんでしょうけども、コロナを経た我々としては必要以上に接触を多くすることで、ある種の気持ち悪さを感じたことと思います。



それから次に大事にしたのが暴力性です。
ハラスメント問題が厳しくなる昨今とは違い、当時はまだギリギリ理不尽な暴力がごく一部の問題ではなかった。日常に存在していた時期でした。この物語の土台に暴力性は必要な要素でした。



創作していく中で、戯曲をそのままの解釈で上演することに違和感が出てきました。この作品の基となる事件の資料を見ていくと、ヨシダの存在がどんどん理解不能な存在に思えてきました。戯曲では割とあっさりと描かれているので、そのまま上演してしまうとヨシダがいかに恐ろしい、一種天災のような存在だったか、ということが伝わらないのではないかと思うようになりました。なので、思い切って誤読することで金のための殺人をするのではなく、自分のコミュニティを作るため、自分を友達によく見せるために結果として殺人に手を染めるという解釈で創作することにしました。結果として、峯さん演じるヨシダは怪物となり、それを支えるツツミやイケガミも一種のモンスターになり、本家とは随分と毛色の違う「夜、ナク、鳥」になったのではないか、と自負しています。








と、いうわけでカラ/フル版「夜、ナク、鳥」いかがだったでしょうか?
一人でも多くの方に楽しんで観てもらえてたら幸いですし嬉しいです。
オダ個人としても「海のホタル」「夜、ナク、鳥」の二作を演出できたことは良い経験になりました。
改めて大竹野さんに感謝です。
「ありがとうございました」

※舞台撮影=岸千尋(遊気舎)
暑いっすね。どうもオダです。
先日は観劇講座なるものがありまして、「夜、ナク、鳥」が課題作品に選ばれましたので、それ終わりでこの記事を書いています。
色々なご意見やご感想を生で聞くことができて貴重な時間でした。
ありがたいです。
さて、遅ればせながら・・・
この度は沢山のお客様にご来場いただきまして誠にありがとうございました。
このご時世、満席の状態で作品を観ていただくことができて本当に幸せでした。
今公演に携わってくださった
客演の皆様
スタッフの皆様
お手伝いくださった皆様
陰ながら応援してくださった皆様
そして、今作「夜、ナク、鳥」を提供してくださった、くじら企画の後藤小寿枝さま
本当にありがとうございました。
誰一人欠けてもこの公演は成立しませんでした。
本当に感謝しています。
まずそもそも何故「夜、ナク、鳥」を上演することになったのか?
前々回、「海のホタル」をぼつじゅうという企画で上演させてもらった時に、大竹野さんの戯曲と肌が合うと勝手ながら思い、ぜひもう一回やりたい。やるなら対となる今作「夜、ナク、鳥」もいずれ是非やってみたいと思っていました。
いつか、と思ってたのですが、奇跡的にタイミングが合って2年後となる今年上演できる見通しが立ちました。
メインとなる女優達ですが、まず最初に見てみたいと思ったのが、”峯素子の悪役”です。
峯さんはいわゆる”良い人”なので、これまで芝居でも悪役やってるところを見たことがなかったのですが、この人絶対悪役ハマると前々から思ってたので、まずはこれを実現させたいと。ということでヨシダをやってもらったのですが、結果的に峯さんに任せて正解でした。僕の想像の斜め上をいく悪役というか怪物を演じてくれました。

次にストーリーの軸となるイシイですが、このポジションは本人は頑なに否定していましたが、いわゆるヒロインポジになる(女優四人が全員主役みたいな芝居ですがポジションとしての意味ガイド的役割と言い換えてもいい)のですが、可憐な人というイメージではなく、強さもあってなおかつ繊細な弱さも併せ持つ人、あくまで人間的な弱さによって騙されるのではなく、環境や外部的な要因で孤独であること、それプラスヨシダ達の直接的な圧力によって事件に加担するという構図を作りたかったので、それにピタっと合ったのが高橋映美子さんでした。

ツツミにはヨシダを愛すという特殊な関係性を求められるのですが、それが嫌味にならない人がいいなと思い、中村ユリさんにお願いしました。実際母性は凄く感じたのですが、それ以上の感情を出してもらわないといけないのが随分と苦労されたんじゃないかと思いました。なにせ戯曲には少ししか出てこないですしね。ですが書かれているなら表現しなければならないので、台詞にないところでいかに表現するか一緒に試行錯誤しました。

最後にイケガミですが、イケガミはヨシダを盲信しているところがあり、事件の最初の被害者にして加害者になるという難しい役どころで、繊細な役回りを演じてくれる人がいいなと思っていました。結構悩んだ末、有元はるかさんにお願いすることにしました。他の三人と比べると少し若いので、それが演技にも出てバランスを取るのに苦労されたと思いますが、四人の中でも異色な、ピーキーなイケガミ像を造形してくれて面白かったです。

続いて男優達ですが、女優達ほどの出番はありませんが、しっかりと存在感を残せる実力を求められます。
ゴウはイシイ(高橋さん)と並んで押し負けない強さとどこか情けなさも求められます。泥谷将くんにお願いすることにしました。カラ/フルとしては旗揚げ公演以来の出演となります。演出するのは、一人芝居以来となりましたが、久々に演出をして、率直な感想は”大人になったな”でした。昔はもっと我を通す俳優だったのですが、演出のオーダーに応える度量の広さを感じました。

エイジは生きている時の描写がほとんどなく幽霊として現れる存在です。イケガミの心の中の投影としてみることもできます。イケガミとのアンサンブルが大事になってきます。なんとなくイメージ的に白井宏幸くんなら有元さんとのバランスも良かろうと思ってたのですが、実際直接絡みはないものの共演経験もあったみたいで、稽古中に二人で前向きに相談し合いながら役作りしてくれたこともあり、ひと味違うエイジ像を見せてくれました。

ヒデキはヨシダの本性を分かった上で協力するという変わった役どころです。基となる事件には存在しないポジションです。僕は勝手に大竹野さんの男としてのささやかな抵抗として登場させているのかなと思いました。まあ結局はヨシダには敵わないのですが…笑。栖参蔵さんにお願いしました。彼とは前々回の「海のホタル」から3回目の出演です。掴みどころのない役どころですが、僕からのオーダーに応えてくれて、自分からの積極的なアイデアも出してくれて”戦うヒデキ”像を造形してくれました。

男優最後はミチロウです。このキャラクターもこの作品オリジナルの役で末期の癌患者という難しい役どころ(どれも難しい役どころですね)で、ぱっと見で病人に見える人で、ぱっと思いついたのが魔人ハンターミツルギさんでした。ミツルギさんは器用な方ではないですが、存在そのものを鑑賞するタイプの俳優なので、どうすれば魔人ハンターミツルギを生かせるか、ということに苦心しました。それと本番が近づくと本気になるタイプの俳優でしたね。笑

最後は、女優さんですが、”謎の女&隣人&執刀医”を演じてくれた鎌田恵弥さんです。本来ならこの役は誰かが代わりに演じるでも成立する(本家はそうしている)のですが、もっとストレートに見れるようにしたいという僕のわがままに応える形で出演してくれました。年齢的にも一番若いので、8人の芝居を間近で観る機会は彼女にとってもプラスになると思ったからです。おかげで物語に無駄な引っかかりを感じずに観ることができてとても助かりました。影の功労者だと思っています。

以上、9人による「夜、ナク、鳥」でした。
今回、作品を創るにあたってまず大切にしたのが、コロナ前の人と人との接触でした。
今書かれた戯曲ではないので、当時の空気感を出す事はとても大切だと思いました。実際はこんなにも接触はしないんでしょうけども、コロナを経た我々としては必要以上に接触を多くすることで、ある種の気持ち悪さを感じたことと思います。



それから次に大事にしたのが暴力性です。
ハラスメント問題が厳しくなる昨今とは違い、当時はまだギリギリ理不尽な暴力がごく一部の問題ではなかった。日常に存在していた時期でした。この物語の土台に暴力性は必要な要素でした。



創作していく中で、戯曲をそのままの解釈で上演することに違和感が出てきました。この作品の基となる事件の資料を見ていくと、ヨシダの存在がどんどん理解不能な存在に思えてきました。戯曲では割とあっさりと描かれているので、そのまま上演してしまうとヨシダがいかに恐ろしい、一種天災のような存在だったか、ということが伝わらないのではないかと思うようになりました。なので、思い切って誤読することで金のための殺人をするのではなく、自分のコミュニティを作るため、自分を友達によく見せるために結果として殺人に手を染めるという解釈で創作することにしました。結果として、峯さん演じるヨシダは怪物となり、それを支えるツツミやイケガミも一種のモンスターになり、本家とは随分と毛色の違う「夜、ナク、鳥」になったのではないか、と自負しています。








と、いうわけでカラ/フル版「夜、ナク、鳥」いかがだったでしょうか?
一人でも多くの方に楽しんで観てもらえてたら幸いですし嬉しいです。
オダ個人としても「海のホタル」「夜、ナク、鳥」の二作を演出できたことは良い経験になりました。
改めて大竹野さんに感謝です。
「ありがとうございました」

※舞台撮影=岸千尋(遊気舎)